TV版「海猿」水中撮影日誌


TV版「海猿」ついに完結!
2005.9.13 全11話オンエア終了!
TV史上に残る水中シーン満載の連続ドラマ
その苦闘の記録です・・・・・。





7/13公開!最新版
「海猿・BRAVE HEARTS」水中撮影日誌


●台本が来た!
2月下旬、TV版「海猿」企画立ち上げの顔合わせがあった。
プロデューサーが「こんなに水中シーンの多いドラマは
前代未聞です。皆さん、心して頑張ってください」と激励。
「頑張らねば!」と気持ちが引き締まる。
1話から3話までの台本を貰う。
まだ予定稿や準備稿の段階だけど、読むのが楽しみ!
(*写真は第1話の決定稿です)

●渡嘉敷島ロケハン
3月5日から沖縄・ケラマ諸島の渡嘉敷島にロケーション・
ハンティングに行った。この時期、沖縄は最低の水温と記録的な
寒さだった。水温20℃。しかし気温は10℃。30分たらずの
候補地探しのダイビングだが、海から上がると着古した5ミリの
ヘタリスーツが触れないほど冷たくなり、体が震えてくる始末。
本番が思いやられるロケハンでした。
(*写真はカメラマン・武田と水中ハイビジョンカメラです)

●先行クランクイン
水中撮影班は、3月24日から渡嘉敷島で先行クランクイン。
連ドラには欠かせないタイトルバックや11話中、唯一明るい海での
ファンダイビングシーン、CG合成用カットなどの撮影を行った。
ロケハンの時よりも気温は上がったものの、吹くはずの無い南東の風に悩まされ続けた。いろいろな悲鳴を上げながらもなんとか撮影終了。
スタッフの皆様、大変過酷な撮影お疲れ様でした。
(*写真は、水中三脚を使ってCGカット撮影中の1コマです)

●豪華なオールスタッフ打ち合わせ
4月4日、東宝撮影所にてオールスタッフが集まっての厄祓い&
成功祈願&打ち合わせが行われた。4月6日正式クランクイン。
主演の伊藤英明さん、マドンナの加藤あいさん、ながれの船長役・
夏八木勲さん、潜水隊長の時任三郎さん、仲村トオルさん、
オーシャンズ・マスター役の伊武雅刀さんなどなど、書ききれない
ほどの豪華メンバーが一堂に会した。壮観でした!
(*写真は水中撮影班のオールスタッフです)

●大深度40mプールの恐怖
4月19日。横浜の海上保安庁施設・防災基地にて水中撮影。
撮影シーンは、第3話。大輔(伊藤英明)と池澤(仲村トオル)は、
水深40mのプールで潜水訓練をする事になった。
しかし、大輔のスキルに満足していない池澤は、ダイビング器材に
細工をし、より過酷な訓練メニューを密かに決行する。
果たして、大輔はこのピンチを無事に切り抜けることができるのか?!
伊藤さんも仲村さんも落ち着き払った水中演技でビックリでした。
(*写真は、恐怖訓練中の二人と余裕でピースの伊藤英明さん)

●今度は造波プールの恐怖が襲う!
5月12&13日。またもや防災基地での水中撮影。
今回は潜水プールではなく25mプール。しかし、そこは波高や潮流は
もちろん、風までも思いのままという恐怖の“造波プール”だった。
撮影シーンもドラマ佳境の第5〜8話。大輔vs池澤の水中訓練が
続く。水中重量挙げ。水中障害物突破等々。果たして大輔は、
池澤のシゴキに耐えて、バティとしての信頼を得ることができるのか?
(*写真は、20kgの重りを揚げる訓練中の伊藤英明さん)

●巨大水中セットが登場!
山梨県・甲府市のダイビングプールに巨大な水中セットが完成。
5月16日。第1話に登場する難破船「エイジアン・トリップ号」の
水中捜索シーンの撮影が行われた。
曲がりくねった、障害物だらけの暗い船内を捜索する大輔と池澤。
そこで、二人は予期せぬ光景を眼にする。果たして、このミッションは
無事に成功するのか?
本当に迷子になりそうなほど精巧に作られた水中セットに唖然!
(*写真は、予期せぬ光景に出会ってしまった伊藤さんと仲村さん)

●水中セット撮影無事終了!
5月26日、連ドラ初となった巨大な水中セットの撮影が無事終了。
のべ1週間に及んだ水中撮影で、第1話、第2話のハイライトシーンを
撮影しました。第2話では、伊藤さんと仲村さんは、素潜りでの救助
シーンにも挑んだ。早朝から夜まで、水中に浸かりっぱなしの過酷な
撮影にも二人は愚痴ひとつこぼさず頑張りつづけた。
完全脱帽の役者魂! 本当にお疲れ様でした!
(*写真は、救助シーン本番前スタンバイ中の伊藤さんと仲村さん)

●水中撮影に新兵器登場!
水中撮影で一番苦労するのは、水中でのコミュニケーション。
登場人物が多くなって、シーンが複雑になればなるほど、
監督の「ヨーイ、スタート!」さえ聞こえなくなってしまう。
水中スピーカーや水中インカムを使っているものの、なかなかスムーズ
な意思の疎通は難しい。そんな中、ダイビングメーカーの「ゼロ」から
“ダイブトーク”という新兵器の提供があった。フルフェイスタイプで
はっきり話せて、水中スピーカーの性能も抜群。大変重宝しました。
(*写真は、ダイブトーク使用中の武田カメラマン)

●台本が揃ってしまった・・・・・。
6月から本格的に海洋ロケが始まるというのに、
台本は、早くも全11話が決定稿として揃ってしまった。
色味の綺麗さもさることながら、最後までハラハラドキドキの展開で、
1話たりとも見逃せない素晴らしいストーリーになっています。
「えー、この人がこんなところでこんな大事件に・・・・・」
「えー、こんな最終回どうやって撮影するの?」
あー、誰かに話たい!
この誘惑にオンエアまで勝つ事ができるかどうか・・・・・。

●海洋ロケ第一弾無事終了!
6月7日。5日間におよんだ海洋ロケが無事終了した。
ロケ最終日は、保安庁の巡洋艦をはじめ、PC船が3艇、取り巻きの
撮影船が6艇という前代未聞の超豪華撮影態勢で行われた。
この日、初めて人命救助を成功させた大輔はホッとっ一息。
すると池澤は大輔に言った「仙崎、握手だ!・・・・・」
おーっと、早くも大輔は、池澤の信頼を勝ち取る事が出来たのか !?
重油まみれの船内から遭難者を救助するというプールロケを凌ぐ過酷
なシーンの連続。海洋ロケシーンもみどころいっぱいになりそうです!

●本邦初公開のロケ弁だ!
この日のロケ弁は、ヒレカツとシャケと煮物&フルーツ。
「海猿」のロケは、押せ押せになってしまう事も少なくなく、
14時、下手すると15時に昼飯なんて事もあります。
冷たくなってしまったお弁当、でも疲れた体には何よりの活力です。
タレントさんはもっとイイ物食べてるんでしょ? と思われがちですが、
伊藤さんや仲村さんも同じ物をニコニコしながら食べています。
水中撮影班は、お弁当が大好き! どんなに忙しいロケでも
この時ばかりは、水中から上がってお休みできるからです・・・・・。

●海中冷蔵庫登場!
「遭難現場の最前線に楽しい事なんか何もない!」
大輔は毒づきながらヘドロで視界の悪い海にも潜っていく・・・・。
そこには、ガムテープでぐるぐる巻きにされた冷蔵庫があった。
いったい中には何が隠されているのか? 
冷蔵庫はヘドロを巻き上げながら大輔の目の前を上がっていく。まさに視界はゼロ。事件性をおびた展開に引きこまれていくシーン。
そして、隊長はおもむろに封印された冷蔵庫の扉を開く・・・・・。
まさに視界ゼロで水中写真は撮れませんでした・・・・・。

●見逃すな! 第8話
第2弾海洋ロケが終了した。千変万化の海況に撮影は難航続き。
注目は第8話。ロシア人船長の救出に向かった大輔は、間一髪
ミッションを成功させる。搭載艇の池澤が大輔に声を掛ける
「よくやったぞ! 仙崎」。「初めて・・・・池澤さんに褒めてもらえた」
大輔は、嬉しかった・・・・・。ガッチリと結ばれる手。
しかし、その喜びもつかの間。またしても事件! さらなる大試練が
大輔を襲う。全11話中、もっとも波乱に満ちた展開に翻弄されていく
大輔。絶対に見逃せない第8話の結末やいかに・・・・・。

●見えてきた! 最終話
まだまだ撮り終えていないシーンがたくさんありますが、
撮影は10話〜最終話へのくだりまで突入しました。
8話にも増して、潜水士達は苦難の道へと突き落とされます・・・・・。
1艘のプレジャーボートが強風にあおられて座礁転覆。
船内には要救助者が残されているらしい・・・・・。まったく落ち着きの
ない大輔に勝田船長が吠える。「どうした仙崎! 何を焦っている!」
異常事態に隊長の下川までもが落ち着きを無くしている。
果たして、こんな状態で最終ミッションは成功するのだろうか?

●見えてきた! クランクアップ
7月16日。広島の海上保安大学校にて第9話の撮影が行われた。
TV「海猿」は、8月初旬までにクランクアップする予定となり、
水中撮影も急ピッチで進められ、3日間かけて撮影するカットを
1日で撮り終えるというハードスケジュールになってしまった。
海上保安大学に現れた大輔は、指導員のスーツに身を包んでいた。
そして、吉岡の潜水訓練を叱咤激励する事になる。
そのうえ、大輔は思いがけない人物と顔を合わせる・・・・・。
人物は大輔に言う「はっきり言っておまえは目障りだ!」

●この子誰の子?
いよいよ撮影も大詰めになりました。8月5日、府中多摩スタジオと
東宝スタジオをハシゴするという強行スケジュール。
こんな美少女を水中で撮影しなければならないうえに、児童福祉法
に抵触するため、もちろん美少女最優先で撮影が進行。
美少女をクランクアップさせた後、残りのカットを消化した撮影隊は、
深夜の24時過ぎまで潜る羽目になってしまいました。
ところで、この女の子は何処の誰の子なんでしょうか?
最終話にむけてまたまた謎のシーンが浮上してきたのでした・・・・・。

●帰ってきた矢吹
ついに水中撮影班クランクアップの日、最終話の大詰めです。
海保の訓練プールに姿を現した矢吹・・・・・。
しかし、永遠のバディ下川は・・・・・笑顔を交わす二人。
甲府のプールの時は「なんか調子が出ないなあ」って感じの潜りだった
時任さんも完全にバリバリ潜水士の潜りを披露。かっこいいです!
夕方6時に無事撮影終了・・・と思いきやこの日も府中多摩スタジオ
に移動。プレジャーボート転覆の残りカットを撮影する羽目になった。
結局、水中班がオールクランクアップしたのは深夜2時30分でした。

●そして、タイトルバックへ・・・・・。
8月6日、水中撮影班オールクランクアップ。4ヶ月延べ37日間に
及んだ「海猿」の水中撮影は無事終了しました。日本のテレビ史上に
残る水中シーンの多いドラマに参加できた事を誇りに思います。
小林監督の粋な計らい?(緻密な計算の賜物ですね)で、
思い出の多い海保プールでのラストカットは、タイトルバックに繋がる
水面キラキラの絵でした。永遠のバディは光の中へ・・・・・。
仙崎、池澤、下川、山路、永島、別所、吉岡・・・・・。
皆さん役者魂丸出しの潜りありがとうございました。

●そして、大盛況の打ち上げへ・・・・・。
8月10日、西麻布にて打ち上げパーティが開かれました。
ほとんどの出演者が出席し、大盛況のうちに3時間が過ぎました。
なんといっても大笑いだったのは、スタッフ用に編集されたNGビデオ集。
いつものNGカットに加えて、伊藤さんが肉襦袢を着て真剣に
仲村トオルさんの物真似をしているシーンが絶品でした! 
今後「海猿」のNGシーンが放送される番組があったら、
必ずチェックしてください。今世紀最大に笑い転げられます。

★水中撮影スタッフ★

・水中撮影・
武田 篤(フォトン)
坪内 一(スターツ)
田中 知二(フィッシュバード)
五島 三徳(後藤アクアティクス)

・ダイビングコーディネーター・
金城 将憲(シー・エム・シー)
村田 香織
中村 忠善

・水中スタント・
今川 達也(ブルーフィールド)
佐野 雄一郎(ナルー)
勝島 吉博
吉岡  隆
安里 周士
菅野 喬允

小寺 正彦
木村  雄